「SDGsに取り組まなければ」と感じつつも、目標12が自社の業務とどう関係するのか、具体的に何から手をつければよいのか迷っている方は少なくありません。この記事では、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の基本から、廃棄物管理・資源利用の観点で企業が今すぐ実践できる対応策まで、初歩からわかりやすく解説します。

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」とは?企業が知るべき基本

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」とは?企業が知るべき基本

SDGs目標12は、生産から消費までのサイクル全体を持続可能なかたちに変えることを求めています。企業にとっては廃棄物の削減、資源の有効活用、サプライチェーンの見直しなどが主な対応領域です。まずは目標12が生まれた背景と、企業に直接関係するターゲットを押さえておきましょう。

目標12が生まれた背景と世界の現状

目標12は、地球上の資源が有限であるという危機感から生まれました。世界の人口増加と経済成長に伴い、資源の消費量は加速度的に増え続けています。国連環境計画(UNEP)の報告によれば、現在の消費ペースを続けた場合、2050年には地球3個分の資源が必要になると試算されています。

食料廃棄も深刻です。世界で生産される食料のうち約3分の1が廃棄されている一方、8億人以上が慢性的な飢餓状態にあります。こうした生産と消費のアンバランスを是正するために、SDGsの17目標のひとつとして「持続可能な生産消費形態の確保」が掲げられました。

日本においても、産業廃棄物の年間排出量は約3億7,000万トン(環境省 令和3年度実績)にのぼり、適正処理とリサイクル推進が継続的な課題となっています。

企業に関係する主なターゲット(指標)をわかりやすく解説

目標12には11のターゲットが設定されていますが、企業の日常業務と特に結びつきが強いものをまとめると次のとおりです。

ターゲット番号 内容のポイント 企業への関係
12.2 天然資源の持続可能な管理と効率的な利用 原材料・エネルギーの使用量削減
12.4 化学物質や廃棄物の適正管理 産業廃棄物の適正処理・記録管理
12.5 廃棄物の発生を大幅に削減する 3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進
12.6 企業に持続可能な取り組みの採用と情報開示を促す CSRレポートやSDGs宣言の作成
12.8 持続可能な開発に関する意識の向上 社員教育・社内研修の実施

特に中小企業が取り組みやすいのは12.5と12.6です。廃棄物の削減や分別の徹底は、大きな設備投資なしに始められ、コスト削減にも直結します。

産業廃棄物・資源管理の観点から見た日本企業の課題

産業廃棄物・資源管理の観点から見た日本企業の課題

SDGs目標12への対応を考えるうえで、まず日本の産業廃棄物・資源管理の現状を把握しておくことが大切です。数字で現状を知ることで、自社に必要なアクションが見えてきます。

廃棄物の排出量とリサイクル率の現状

日本の産業廃棄物は年間約3億7,000万トン排出されており、そのリサイクル率は約53%(環境省 令和3年度産業廃棄物の排出・処理状況)とされています。一見高い数字に見えますが、裏を返せば残りの約47%は最終処分または単純焼却されているということです。

業種別に見ると、電気・ガス・熱供給・水道業や農業・林業からの排出が多い一方で、製造業や建設業でも大量の廃棄物が発生しています。リサイクルが進んでいる業種と、まだ改善の余地が大きい業種とで格差があるのが現状です。

また、廃棄物の不適正処理(不法投棄など)は毎年一定数発生しており、法令遵守の観点からも企業の廃棄物管理体制の整備が求められています。

目標12に対応できていない企業が抱えるリスク

SDGs対応が遅れることは、単なる「社会的責任を果たせていない」という評判面の問題にとどまりません。具体的に次のようなリスクが生じる可能性があります。

  • 取引機会の損失: 大手企業や自治体との取引において、サプライヤーへのSDGs対応要求が強まっています。証明できないと入札・受注の機会を失うケースもあります
  • 金融・投資面での不利: ESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視する投資)が拡大しており、対応が不十分な企業は資金調達で不利になる場面が増えています
  • コスト増大: 廃棄物の適正処理費用は年々上昇傾向にあります。削減できないまま放置すると処理コストが重荷になります
  • 法的リスク: 廃棄物処理法などの規制強化が続いており、不適正処理が発覚した場合の行政処分や社会的信用の失墜は回避できません

対応を後回しにするほどリスクは積み重なる構造になっているため、今のうちから取り組みを始めることが賢明です。

企業がSDGs目標12に対応するための具体的な取り組み

企業がSDGs目標12に対応するための具体的な取り組み

「何から始めればよいかわからない」という声はよく聞かれます。このセクションでは、廃棄物管理・リサイクル推進・サプライチェーン管理の3つの軸で、今すぐ実践できる具体策を紹介します。

廃棄物の削減・分別・適正処理を見直す

まず取り組みやすいのが、自社から排出される廃棄物の「現状把握」です。何がどれだけ出ているかを数字で把握しなければ、改善の目標も立てられません。

廃棄物削減の基本ステップは次のとおりです。

  1. 廃棄物の種類と排出量を記録・集計する
  2. 削減できる工程・原因を特定する(例:梱包材の過剰使用、製造工程のロスなど)
  3. 分別ルールを整備し、社員へ周知・教育を行う
  4. 産業廃棄物処理業者と契約し、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を適正に運用する
  5. 年1回以上、排出量の推移を確認してPDCAを回す

産業廃棄物の処理は廃棄物処理法に基づく義務があるため、「とりあえず出せばよい」ではなく、適正処理業者の選定と記録管理がセットで必要です。kanteku.co.jp では産業廃棄物の適正処理に関するサポートを提供していますので、処理方法に迷った際はお気軽にご相談ください。

産業廃棄物のリサイクル・再資源化を推進する

廃棄物を「ゴミ」として捨てるだけでなく、「資源」として活かす視点の転換が、目標12の核心です。

産業廃棄物のリサイクル・再資源化で取り組める主な方法を以下にまとめます。

廃棄物の種類 再資源化の例
金属くず 溶融・再製造(スクラップリサイクル)
廃プラスチック マテリアルリサイクル・サーマルリサイクル
木くず チップ化・バイオマス燃料化
汚泥 肥料・建材への再利用
廃油 燃料油・潤滑油への再生

リサイクルを進めるには、適切な分別が前提になります。また、再資源化を行う許可業者に処理を委託することで、廃棄物処理費用の削減につながるケースもあります。単なるコスト削減ではなく、循環型社会の実現に貢献しているという実績をCSR報告書に記載できるのも利点のひとつです。

サプライチェーン全体で資源の無駄をなくす

自社工場やオフィス内だけで取り組みを完結させず、仕入先・製造委託先・物流パートナーを含めたサプライチェーン全体に視野を広げることが、目標12の本来の趣旨に沿った対応です。

実践のポイントとして、次のような取り組みが挙げられます。

  • 仕入先に対して環境基準への適合を確認するグリーン調達ガイドラインの策定
  • 梱包材の共通化・簡素化による包装廃棄物の削減
  • 返品・余剰在庫の発生を減らすための需要予測精度の向上
  • 製品設計段階から廃棄しやすい素材・解体しやすい構造を検討する「設計段階での廃棄物削減」

特に製造業や小売業では、商品のライフサイクル全体を俯瞰して資源効率を高めることが求められます。取引先へのSDGs取り組み状況のアンケートや、共同での廃棄物削減目標の設定なども、サプライチェーン連携の第一歩として有効です。

SDGs目標12に取り組む企業の事例

SDGs目標12に取り組む企業の事例

実際に他企業がどのような取り組みをしているかを知ることは、自社の方向性を考えるうえで大きなヒントになります。ここでは、製造業・流通業の実践例と、中小企業でも参考にしやすい身近な事例を紹介します。

製造業・流通業における廃棄物削減の実践例

製造業では、生産工程から発生するロスや廃材の削減が主要な取り組み領域です。

たとえば自動車部品メーカーの中には、工場内で発生する金属切削くずをほぼ100%スクラップとしてリサイクルする仕組みを構築し、廃棄物最終処分量ゼロ(ゼロエミッション)を達成した事例があります。こうした取り組みは廃棄物処理費用の削減と、企業ブランドの向上の両面で効果を発揮しています。

流通業では、食品スーパー大手が賞味期限の近い商品を値引き販売するシステムを導入し、食品廃棄量を数年で30%以上削減した事例が報告されています。また、配送時の包装材を繰り返し使える折りたたみコンテナに切り替えることで、年間数十トンの包装廃棄物削減に成功した物流企業の例もあります。

共通しているのは、「現状の数値を計測し、目標を設定して、定期的に振り返る」というシンプルな管理サイクルを回している点です。

中小企業でも始められる小さな取り組み事例

「大企業の話であって、中小企業には関係ない」と感じる方もいるかもしれませんが、取り組みの規模は小さくても構いません。

実際に中小企業で実践されている身近な事例を紹介します。

  • 紙の使用量削減: 社内の書類を電子化し、コピー用紙の購入量を年間50%削減した印刷会社
  • 食品廃棄の見直し: 仕入れ量の記録を徹底し、廃棄ロスを月単位で管理することで食材廃棄コストを年間30万円削減した飲食店
  • 分別の徹底とリサイクル業者の切り替え: 廃棄物の種類別に処理業者を見直したことで処理費用を削減し、廃棄物管理台帳を整備してSDGsレポートに掲載できるようにした製造業の中小企業
  • 社員への環境教育: 月1回の短時間研修でSDGsと廃棄物削減の知識を共有し、現場からの改善提案が増えたサービス業の企業

「小さな一歩」が積み重なることで数字は確実に動きます。まずは一つ取り組みを決めて、記録をつけることから始めてみてはいかがでしょうか。

SDGs目標12に取り組むと企業にどんなメリットがあるか

SDGs目標12に取り組むと企業にどんなメリットがあるか

SDGsへの対応はコストや手間がかかる「義務」というイメージを持たれがちですが、継続して取り組むことで企業に具体的なメリットをもたらします。

主なメリットをまとめると、次のようになります。

メリットの種類 具体的な内容
コスト削減 廃棄物処理費の圧縮、原材料・エネルギー使用量の削減による経費節約
取引機会の拡大 グリーン調達基準を設ける大手企業・自治体との取引参入
採用・人材定着 環境・社会への貢献を重視する人材(特に若い世代)に選ばれやすい職場になる
ブランド・信頼性の向上 SDGs宣言やCSRレポートの公開による社会的評価の向上
法規制への備え 廃棄物処理法や環境関連法令への適正対応で行政リスクを回避

なかでも「コスト削減」と「取引機会の拡大」は、経営判断に直結する実利的な効果です。廃棄物の削減は排出量が減るだけでなく、処理費用の支出そのものを抑えることにつながります。

また、SDGsへの取り組みを対外的に発信することは、取引先や顧客からの信頼を着実に積み上げていきます。「環境への配慮ができる企業」という評判は、長期的な競争力の源にもなります。

「社会のためだから仕方なく」ではなく、「自社の成長につながるから取り組む」という前向きな姿勢で始めると、現場の意識も変わりやすくなるでしょう。

まとめ

まとめ

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、廃棄物の削減・適正処理・リサイクル推進を通じて、企業が今すぐ行動できる目標です。

取り組みのポイントをおさらいすると、①廃棄物の現状を数値で把握する、②分別と適正処理の体制を整える、③リサイクルできるものを資源として活かす、④サプライチェーン全体に視野を広げる、の4点に集約されます。

大企業でなくても、小さな一歩から確実に変化を生み出せます。まずは自社の廃棄物の排出状況を記録することから始め、産業廃棄物の適正処理や再資源化についてお困りの際は、専門業者への相談も選択肢のひとつです。kanteku.co.jp では産業廃棄物処理に関するご相談を承っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

SDGs目標12と企業の対応についてよくある質問

SDGs目標12と企業の対応についてよくある質問

  • SDGs目標12とは何ですか?

    • SDGs(持続可能な開発目標)の17目標のうちの12番目で、「持続可能な生産消費形態の確保」をテーマにしています。廃棄物の削減、資源の効率的な利用、適正な化学物質管理などが主な内容です。企業に対しては情報開示や取り組みの実践が求められています。
  • 中小企業でもSDGs目標12への対応は必要ですか?

    • 法的な義務ではありませんが、大手企業が調達先にSDGsへの取り組みを求めるケースが増えており、対応していない場合は取引機会を失うリスクがあります。また、廃棄物削減はコスト削減にも直結するため、規模を問わず取り組む価値があります。
  • 何から始めればよいですか?

    • まず自社から排出される廃棄物の種類と量を記録することをおすすめします。現状を数値で把握することで、削減できる箇所が見えてきます。その後、分別の徹底・適正処理業者の確認・リサイクル可能な廃棄物の仕分けへと順番に進めていきましょう。
  • 産業廃棄物の適正処理とSDGsはどう関係しますか?

    • 産業廃棄物の適正処理はSDGs目標12のターゲット12.4(廃棄物の適正管理)や12.5(廃棄物発生の大幅削減)に直接対応します。マニフェストの適正な運用や許可業者への委託は法的義務であると同時に、SDGs対応の実績としてCSR報告書にも記載できる取り組みです。
  • SDGs目標12への取り組みを社外にアピールする方法はありますか?

    • CSRレポートや環境報告書の作成・公開が一般的な方法です。ウェブサイトにSDGs宣言ページを設けたり、取り組み内容をプレスリリースで発信したりすることも有効です。第三者認証(エコアクション21など)の取得も信頼性を高める手段のひとつです。

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